カテゴリ:講演・ゼミ( 1 )

 「森達也さんと映画『水俣病ーその20年』を見る」が開催された日、千葉労働者福祉センターで開催中の『水俣・千葉展』に行ってきた。

 私と水俣病との初めての接点は、以前青山学院大学の大学祭で、女性の水俣病患者の方と作家の田口ランディさんのお話を伺ったことだ。

 今回の『水俣・千葉展』のリーフレットの「開催にあたって」より一部を以下に転記する。
 「加害企業チッソの技術力は、世界の化学工業の中でもトップクラスにありました。その生産過程で副生された原因物質のメチル水銀は、自然界にはまず存在しないものであり、わずか耳かき半分ほどで人を死に至らしめる猛毒でした。水俣湾をつつむ不知火海は、沿岸漁民の主食ともいうべき魚介類の宝庫でしたが、ここに注ぎ込まれたその総量が一億国民を二回殺してもなお余りあるほどに至るまで、チッソの生産活動はつづけられました。」(以上、転記終わり)

 最初に、展示を観る。不自然に折れ曲がった手、ぐにゃりと曲がった脚、視力を失った少女が虚空を見つめる瞳、胎児性水俣病患者のモノクロ写真など直視するのが辛い展示もある。

 ある水俣病患者が半年間で服用した薬のカラの展示。おびただしい量の薬のカラが、患者が大量に薬を服用していたことを静かに物語っていた。

 チッソ製の素材を用いた現在の商品の展示には、ビニール袋、ホース、液晶画面などがあり、私自身もチッソ製品の恩恵を受けていることがよくわかる。自宅に戻ってから、早速チッソのHPを検索してみた。

日々の暮らしにあるチッソ製品のご紹介
 上記ページを見てみるとクラクラするくらい、私たちの身近にチッソ製品があふれている。

 また、会場出口付近には毛髪水銀調査コーナーがあり、私も測定をしてもらう手続きをし、髪の毛一部を置いてきた。
 
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 ほどなく、ホールプログラムの始まる時間になり、会場の会議室に移動した。今回上映は、土本典昭監督の記録映画『水俣病ーその20年』。私は、初めて観る映画だった。

 立つことが出来ない水俣病患者、口からお粥をこぼしながら食べさせてもらう子どもの映像。実験のため、メチル水銀を与えられた猫が、ぐるぐる回り続ける映像もあった。また、当初は母親の胎盤からメチル水銀が胎児に取り込まれるとは考えられていなかったが、マウス実験により、胎児に水銀が取り込まれたことを示した映像もあった。

 上映の後は、一緒に映画を客席で観た森達也さんの講演。彼もこの作品を初めて観たという。なぜ、土本監督が水俣にこだわったか、よくわかったそうだ。見事に水俣はメタファーだと。昨今の非正規雇用者を切り捨てる企業。水俣と根底は一緒だと。

 土本監督の映像は、モザイクがないという。生涯一度もモザイクは、使ったことがなかったそうだ。今回上映の映画にも、確かにモザイクはなかった。

 また、土本監督が水俣病の子どもを撮影した時のエピソードも紹介してくれた。監督たちのカメラに気づいたその子の母親は、撮影を続ける監督たちに嫌悪感をあらわにしたそうだ。撮影は続けられたものの、監督は三脚の下で嘔吐したという。カメラをまわすことは、加害することだからだ。

 現象は、多面的、多重的、多層的であることを常に頭に入れること。情報のフレームの外にあることを想像してみること。まずは、「知ることから始めよう」という言葉で講演は、締めくくられた。
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 会場で購入した、石牟礼道子著『苦海浄土(くがいじょうど)』講談社文庫

水俣・千葉展
12/28(日)まで、千葉労働者福祉センターにて開催

追記
以下の日程で、土本監督のことが放映されるようです。
2008年12月21日(日)夜10時〜 放送予定
ETV特集
http://www.nhk.or.jp/etv21c/index.html
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by workshop-non | 2008-12-16 23:54 | 講演・ゼミ